イケアのスマートホーム、Sonosとコラボで本格オーディオへ

北欧の家具メーカー、IKEA(イケア)がホームオーディオを発売しました。SYMFONISK(シンフォニスク)シリーズは、イケアのものづくりのエッセンスを注入した本格的なオーディオ製品です。機能性を追求したセンスの良いオーディオを手がける、アメリカのSonos(ソノス)とのコラボレーションによって誕生した今回の製品。その魅力をイケアのステファン・ベジッチ氏、ソノスのサラ・モリス氏に聞きました。

シンフォニスクシリーズからは、ブックシェルフタイプのWi-Fiスピーカーと、テーブルランプ型のWi-Fiスピーカーが発売されます。どちらも同じシンフォニスクなので、本稿ではブックシェルフSPとテーブルランプSPとして呼び分けることにします。イケア初のWi-Fi対応オーディオですが、ソノスのWi-Fi対応オーディオ製品にもホームネットワークを介してつながり、マルチルーム再生やサラウンド再生が楽しめます。

イケアとソノスのパートナーシップは2015年に話が持ち上がり、2016年からシンフォニスクの開発プロジェクトが始まったそうです。家具のイケア、オーディオのソノスが互いに得意とする分野のノウハウを持ち寄り、「すべての音楽ファンが、よりシンプルに楽しめるスマートオーディオをつくる」というゴールに向けて、両社の二人三脚はスムーズに滑り出したと、ベジッチ氏とモリス氏は口をそろえます。

シンフォニスクのプロダクトデザインはイケアが担当し、ソノスがオーディオの技術開発とサウンドのチューニングを全面的に行いました。シンフォニスクのシリーズには2つのスピーカーシステム以外にも、スピーカーを設置するためのアクセサリーやリモコンなどを用意しています。

照明と音響機器を一体にした製品は他社にもありますが、シンフォニスクのテーブルランプSPはインテリアに溶け込むオーディオをより積極的に追求したデザインが特徴的です。音楽を再生しないと、外観だけでスピーカーとわかる人は少ないでしょう。ランプシェードには職人による吹きガラスを採用。すりガラスを透過する光が淡く部屋に広がり、暖かい雰囲気を漂わせます。ボタンや入出力端子も目立ちません。

電球は別売りですが、アプリで灯りの強弱や色合いがコントロールできるスマート照明「トロードフリ」シリーズがあります(イケアの商品)。あるいは、ソケットサイズ「E17」に対応する他社のシンプルな電球も装着できます。

ブックシェルフSPは、縦・横どちら向きにも置けるWi-Fiスピーカー。シンフォニスクの専用ウォールブラケットを使うと壁に密着させて設置できるので、スピーカー自体が簡易なシェルフ(棚)にもなるという発想が面白いと思います。「部屋の中にオーディオを置く場所がないという方も、シンフォニスクなら空きスペースを効率よく活用して心地よく音楽が聴けます」(ベジッチ氏)。

シンフォニスクのスピーカーは、テーブルランプSPが2.5万円、ブックシェルフSPが1.5万円を切る価格も魅力的です(どちらも税込)。2台をペアでそろえてステレオ再生するワイヤレススピーカーも多くありますが、部屋にさりげなく置けるデザインであることと、価格の手ごろさを考えれば、「シンフォニスクでステレオ再生」は現実味のある選択ではないでしょうか。

シンフォニスクのテーブルランプSPを1台借りて、自宅で試してみました。

セットアップにはSonosアプリ(iOS/Android)を使い、指示に従って進めればよいので簡単。Wi-Fiルーターに接続したあとは、iPhoneならAirPlayからiPhone内のコンテンツをキャストしてすぐに音楽再生がスタートします。Androidスマホの場合は、Sonosアプリからスマホ本体に保存している音楽ファイルを参照して、Wi-Fi経由で再生する仕組みです。最大48kHz/24bit以上の楽曲ファイルまで対応します。

イケアのスマートホーム、Sonosとコラボで本格オーディオへ

Apple MusicやSpotify、Amazon Musicなどメジャーな音楽配信サービス、そしてTuneInのインターネットラジオなどは、シンフォニスクのスピーカーが直接Wi-Fi経由でストリーミングを受けて再生します。

そのサウンドは、ボーカルやメロディを奏でる楽器の帯域に厚みを持たせているので、声の張りが鮮やか。ピアノやギターの音色にも、きらびやかさを感じます。不自然な強調感がなくクリアなサウンドなので、リラックスしながらBGM感覚で長い時間聴けました。

家具やテーブルの上にシンフォニスクスピーカーを置いた場合でも、低音が響いて聴きづらくならないように、バランスが整えられているようです。不要な振動を伝えない強固な材質のスタンドやラックの上に置ければ、Sonosアプリのイコライザー機能で低音と高音のバランスを自由にアレンジしてよいと思います。

シンフォニスクを操作方法は主に3つ。1つはSonosアプリで、Spotifyなど音楽配信アプリからキャスト先にシンフォニスクを選択すれば、楽曲の選択や再生コントロールはそれぞれのアプリからでも可能です。

2つめは、Amazon Alexaによるボイスコントロール。Amazon Echoシリーズのスピーカーをお持ちなら、試してみるとよいでしょう。3つめ、操作が断然シンプルなのはシンフォニスクのサウンドリモートです。本体のクリックとホイールの回転操作によって、再生・一時停止や曲の送り操作、音量変更ができます。

ところで、トロードフリのLED電球は「IKEA Home Smart」アプリから明るさや色合いの調節が可能です。アップルのHomeKitに対応するスマートLED電球なので、iPhoneの場合は「ホーム」アプリで同等の操作が行えます。サウンドと照明をまとめてスマホからコントロールできるので、やはりアプリによる操作が一番使いやすく感じました。

iPhoneのユーザーなら、ソノスが独自に開発した機能「Trueplay」はぜひ活用しましょう。シンフォニスクスピーカーを置いた場所に合わせて、サウンドを心地よく聴けるように自動で最適化してくれます。iPhoneを手に持って、マイクをさまざまな方向に向けながら室内を3分ほど歩き回るだけOKです。

イケアのスマートホームシリーズとは、「デバイスそのものやそこに使われているテクノロジーを指すのではなく、ユーザーにとって心地よい雰囲気を作り出すソリューション全体を指しているのだ」と、ベジッチ氏が繰り返し語っていました。「先進的な製品や技術を、ユーザーが迷うことなくシンプルに使えること」を重視しながら、イケアはシンフォニスクを開発、設計してきたそうです。

ソノスのモリス氏も、部屋のスペースをむやみに占有せず、リラックスできる音空間を作り出せることがシンフォニスクの大きな魅力と語っています。あえてBluetoothを持たせずWi-Fi機能に絞り、Sonosアプリを機能やサービスへのゲートウェイとしたこともポイント。ネットワークに接続して使うオーディオを、初心者にとっても親しみやすくしています。

合わせてモリス氏は、「さまざまなクラウドサービスと連携できることもWi-Fiのメリットであり、ソノスが重きを置く理由」と話しています。2020年には、Googleアシスタントからの音声操作対応も予定しているほか、購入後のソフトウェアアップデートによる機能追加も醍醐味のひとつです。また、シンフォニスクは日本で使える50以上の音楽ストリーミングサービスに対応しています。

イケアのベジッチ氏は、ソノスとのコラボレーションで始まったシンフォニスクがユーザーの生活にますますなじむよう、大切に育てていきたいと意気込みを語っていました。スマート照明も含めて、イケアは今後も、日本を含む世界各地で精力的にスマートホームシリーズを展開するそうです。スマートホームを生活に浸透させるには、「機器はとにかくシンプルで使いやすいこと」が大事と、ベジッチ氏が説きます。家具とオーディオの二人三脚による進化を徹底的に進めたシンフォニスク、どんなユーザーの心と興味をつかんでいくのか、今後の反響にも関心が集まりそうです。

やまもとあつし

ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。