「飲める安全な水」を洗車に使えるなんて贅沢すぎ! 海外の水道水と洗車事情とは

インドの水道水は顔にかけるのすら危険?

アジアでは洗車機よりも手洗いのほうが安いことも

 「飲める安全な水」を洗車に使えるなんて贅沢すぎ! 海外の水道水と洗車事情とは

2021年の年末は関東地区では風もそれほど強くなく、晴天も続き、昼間ならそこそこポカポカしていたので絶好の洗車日和であり、筆者も愛車カローラをピカピカに磨き上げた。【写真】汚れが溜まりやすいクルマの「すき間」6つ! 筆者の実家のマンションでは、各棟にあるごみ集積場において、そこの水道を使って住民に限り洗車することが許されている。蛇口にホースを差し込み、かけ流しでふんだんに水を使って洗車を行いながら、「なんて、ぜいたくなことをしているんだろう」と思いながら、いつも洗車をしている。 いまはコロナ禍でご無沙汰しているが、フラフラと海外のオートショーを追いかけていると、日本の“水事情”の良さが群を抜いていることがよくわかる。まず、水道の蛇口をひねり、何も考えずにその水を飲めるのは日本も含め世界でもほんのわずかとはよくいわれるほど“ぜいたく”なこと。 海外で水道水を飲んでも問題ないとするひともいるが、インドでは“シャワーを浴びている時に口に入ってくるだけでお腹を壊す”といわれ、ホテルには1.5リッターのミネラルウォーターが毎日2本も置いてあるのを見ると、とても水道水を飲む気持ちにはなれない。地元インドの人もホテルで見ていると、ロビーなどにおいてある煮沸消毒された水道水を飲んでいる(日本人の多くはこれでも危険とされている)。 中国では水道管が古すぎてヘドロ臭い水が蛇口から出ていた。大都市では浄水場も水道管も最新になったのはいいのだが、“怪しい化学薬品を使って臭いを消したりしたので、かえって飲むのは危険になった”という都市伝説を聞いたことがある。 水道水が飲めるか飲めないかもあるが、そもそも日本ほど水事情に恵まれていない諸外国では、 “かけ流し”洗車というか、自宅での洗車自体を禁止する国や地域も珍しくない。その点では日本はまさに洗車天国でもあるのだ。 アメリカ ロサンゼルスでよく利用するレンタカー会社では、返却された車両は洗車機にかけ、拭き取りをせずに貸し出し可能車両用の駐車場に運ばれてくる。もともと砂漠だったロサンゼルスの強い日差しと乾燥した空気で“自然乾燥”させているようなのだが、使っている水が再生水のようなものでもあるのか、ボディには乾いたカルキのようなものの跡が点在し、“ピカピカ”という仕上がりにはなっていない。ちなみに、雨がほとんど降らない地域なので、頻繁に洗車する必要はない。 中国では、街なかにいわゆる“洗車屋”というものが存在し、そこで洗車するのが一般的となっているようである。地方出身者などを使えば、洗車機を導入するよりコストが安いようで、“手洗い洗車”しか見たことがない。タイでも、バンコク市内などでは洗車機もあるようだが(見かけたことはない)、ミャンマーとの国境地帯あたりなどでは、ミャンマーから出稼ぎにきた一家が“手洗い洗車業”をしていることが多く、大人数なので短時間で仕上がりもよく、しかも安いとのことで、洗車機はまず存在しないとのことである。 日本の洗車機はかなり優秀なようで、一部海外輸出もしているが、アメリカやドイツなど先進国となるとのこと。事情通は「自動車需要がまだまだ伸びる余地のある新興国での洗車機の展開は、『人件費の高騰を待つしかない』との話を聞いたことがあります」と話してくれた。 世界的には水事情の悪化が深刻となっており、日本とて例外ではないとされている。それでも、ついつい水をたくさん使って、かけ流し洗車をしてしまうが、これもいつか制限されてしまう日がくるのだろうか。

小林敦志